令和2年度
全体講評
形式は例年通り。説明文、物語文、語句の知識からの設問です。今回も、問題文から「心」をとらえて文章に表す力が求められる問題でした。作文講座で自分の言葉で書く力を身につけた子には得点源になったはず!
大問1 随筆文
「生きる意味」「何のための人生か」を問う齊藤先生の随筆。「合格するために勉強する」「お金持ちになるためにいい大学へ行く」という物質的(唯物)な意識に疑問を感じ、心のはたらきや社会で果たすべき役割について向き合った経験が理解と解答を左右する問題です。引用されたフランクルの『夜と霧』はアチーブでも扱っていますね。過去問題でチャップリンの文章が出ていたときに「『夜と霧』を読むと戦争や命のことがよく分かるから、本棚においてあるので読むといいよ」というアドバイスを聞いてくれた人は、もしかしてズバリだったかも?フランクルが強制収容所での経験から命や人生の意義を見いだしたように、みなさんも受験勉強から何かをつかめるといいですね。内容がわかれば記述問題は書きやすかったと思います。
文学史は4年連続出題。学習必須項目です。太宰治の壮絶な人生を思い出せば答えはわかりやすかったかも。芥川龍之介「蜘蛛の糸」もまた、みんなで観てみましょう!

大問2 物語文
100字の作文。よしっ!
重松清『くちぶえ番長』
セリフの一つ一つは誰が話した言葉か。そして、セリフには「心」の動きがある。心情を問う問題が中心でしたが「・・・・・」や「-----」に自分で言葉を入れて考えるトレーニングしてきたみんなには答えやすかっただろうと思います。〔問八〕は自分の言葉で書く力だけでなく友だちと真剣に向き合った経験が求められています。心情をつかむだけという受け身な姿勢ではなく、先生や親の力を安易に借りることなく人間関係に前向きに取り組む姿勢が高得点への要因になったはずです。
大問3 語句の知識
予想とおりの語句問題。「ことわざ」はDashでも対策しましたので、まあ大丈夫かな。漢字は漢検5級レベルです。
対策
毎年進化する聖徳中オープンの国語。今年は、どんな子がのびるか、どんな子に入学してほしいか、というメッセージがよりはっきりし、内容的にも洗練されていたと思います。文章を正確に読み取ったうえで体験をふまえ、作者の意図や問いに対する答えを自分の言葉で説明するトレーニングがますます必要です。文字数を数えて本文からぬき出す作業が国語の学習だと考えている子には高得点はむずかしいかも。問題を解いて説明を聞いて直しをして終わらせるだけでなく、出会った文章一つ一つから作者が説明する生き方やものごとの成り立ちを「体験」し、自分自身が成長できるように国語を活用することが大切。
漢字は検定5級以上を早めに取得し、ふだんからトレーニングしてください。
文学史はあらすじだけでもまとめていくカリキュラムを組み込みます。
(はなき のりこ)