夏期講習2015「感性ふくらむ作文講座」がいよいよ始まります。
この講座について毎年多いご質問は
「読書感想文ってどうやってかけばいいの?」
「どんな作品がいい作品なの?」
「だれに相談すればいいの?」
の3つです。
そこで、昨年度のコンクールで特選に入賞されたみなさんからご厚意をいただき
作品を紹介させていただくことになりました。
優秀作品のよさを鑑賞し、困ったことがあったら気軽に相談してください。
伝える
笠松中 一年 平松 律子
十五歳の少女が銃撃にあった。この事実をあなたはどう受け止めるだろう。少女の名はマララ・ユスフザイ。ごく普通の勉強の好きな少女だ。物語の舞台は、パキスタン。ちょうど、タリバンが政治をのっとり、女子が差別を受けていた時代だ。
「女子は学校に行くな。」
「女子は勉強するな。」
「女子は買い物に行くな」
こんな命令が出たらどう思うだろう。しかし反対はできない。殺されてしまうから。そんな理不尽な世界の中マララは、声を上げた。そして、銃撃にあった。マララは奇跡的に助かった。そしれ世界に訴える。「すべての人に平和と教育を。教育こそただ一つの解決策。」目を見張った。私と二歳しか違わないはずなのに、ここまで自分の考えがまとまっていること。それを世界に訴えることのできる勇気に。
私は、マララの勇気に心を打たれた。自分にできないことができるマララに。私は、自分の意見を人に伝えることが苦手だ。伝えた後、反対されるのが怖い。否定されるのが怖い。何かを言われるのが怖い。だからいつも、「なんでもいい。」 「別にいい。」 そうやって、ごまかす。学級での発表や、班での話し合いでも、何も言えない。自分にとって嫌なことだったとしても、嫌と言えない。
私は、マララにあこがれた。かっこいいと思った。私は変わりたい。マララのような、周りに流されない人間に。強い心を持った人間に。
私は、マララにぴったりの言葉を見つけた。『不撓不屈』 強い意志を持ち、くじけない。そんな意味の言葉だ。こんな言葉が似合うマララはやっぱり、すごいと思う。いろいろな言葉を調べる中で、心に響く言葉を見つけた。
「You miss 100% of the shots you do not take.」
「打たないシュートは、100%外れる。」
その通りだと思った。やってみないとわからない。だから、私は、この言葉を大切にしていく。この言葉を生活に生かしていきたい。勇気をもって、何かに挑戦したい。そのために、まずは、苦手な発表から克服していきたい。いや、克服しないといけない。
私の将来の夢は、作家だ。人に夢や希望を与えられる文章が書きたい。私は、国語は得意なほうだ。だから、それを活かしていきたい。そして、すこしでも、夢に近付けるように努力したい。そして、この本を読んで、忘れてはいけないのが、差別。しかし、私には、差別というものが、どういうものなのかわからない。調べてみると、正当な理由なく、劣ったものとして扱うこと。と書いてあった。ひどいと思った。私がわかるのは、差別しても、なにもいいことがないということ。人を傷つけてしまうということ。人を傷つけてもなにもいいことはないのに、どうしてそうなってしまうのか。十三歳の子供の私でもわかるのに、どうして大人がわからないのか。とても不思議だ。
今の日本は、平和と言えるのか。私にはわからない。内戦などはなくても、領土問題や憲法、政治をめぐる争いや、いじめなどいろいろある。そういう面を含めると日本は平和ではないと思う。だからこそ、マララの言うように、教育が大切だと思う。だから、私も精いっぱい勉強して誰かのためになる大人になりたい。
(1257字)※学年は当時のままです。
【短評】
キレのよいテンポで、とてもリズミカルな文調に仕上がっています。宗教的な課題を抱える発展途上国の女性差別、ひいては、人間差別の問題に焦点をあて、人権を軽視し、それを踏みにじることが争いの原因につながっているという結論を導き出しています。読み手の興味をそそりながら、構成もよく練られている秀作だと思います。